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「グリーン・グリーン」という歌がある。
この歌はよく歌われる歌ではあが、7番まで歌詞があることを知っている人はまれである。普通は3番までしか歌われていないのが実状である。さらに、3番までだと、メロディーは長調で明るくリズミカルなのに反し、悲しい歌詞となっている。
よって、楽しいか悲しいかバラバラな解釈が混在するのが実態である。
そこで、今回の授業では、歌詞を1番ずつ提示し、この後続くかどうかと問うことで、クイズ的な形態をとることで、歌詞の解釈と曲想について考えさせる授業を試みた。
まず、歌詞を示す。
グリーン・グリーン
片岡 輝 作詞
B.Mcguite Rspark 作曲
小森 昭宏 編曲
1 ある日
パパとふたりで 語り合ったさ
この世に生きる喜び
そして 悲しみのことを
グリーン グリーン
青空には 小鳥が歌い
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がもえる
2 その時
パパが言ったさ ぼくを胸に抱き
つらく悲しい時にも ラララ 泣くんじゃないと
グリーン グリーン
青空には そよ風ふいて
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がゆれる
3 ある朝
ぼくは目覚めて そして 知ったさ
この世に つらい悲しいことがあるってことを
グリーン グリーン
青空には 雲が走り
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がさわぐ
4 あの時
パパと 約束したことを守った
こぶしをかため 胸をはり
ラララ ぼくは立っていた
グリーン グリーン
まぶたには なみだがあふれ
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がぬれる
5 その朝
パパは出かけた 遠い旅路へ
二度と 帰って来ないと
ラララ ぼくにもわかった
グリーン グリーン
青空には 虹がかかり
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がはえる
6 やがて
月日が過ぎゆき ぼくは知るだろう
パパの言ってた
ラララ 言葉の意味を
グリーン グリーン
青空には 太陽がわらい
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑があざやか
7 いつか
ぼくも 子供と 語り合うだろう
この世に生きる喜び
そして 悲しみのことを
グリーン グリーン
青空には かすみたなびき
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がひろがる |
授業開始のチャイムが鳴り終わるとすぐに言う。
『まず、音楽を聴いてもらいます。』
ピアノによる長調演奏テープを聴かせる。
『曲名が分かる人いますか。』
自由に発表させる。すぐに「グリーン・グリーンだ」という声があがる。
『「グリーングリーン」という曲です。この曲を聞いた感想を書きなさい。』
自由に発表させる。次のような意見が出た。
○なつかしい感じがする。
○楽しい歌だ。
○リズミカルな曲だ。
初発の感想を書かせた後言う。
| 『では、あなたは、この歌は明るい歌と考えますか、暗い歌と考えますか。理由まで書ける人は書いてください。』 |
演奏テープだけでは書けるわけがないので、子供たちは鉛筆が動かない。そこで言う。
『歌詞が分からないと答えられませんね。では、この歌をテープで聴いてみましょう。』
1 ある日
パパとふたりで 語り合ったさ
この世に生きる喜び
そして 悲しみのことを
グリーン グリーン
青空には 小鳥が歌い
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がもえる |
範唱テープを流し、2番の始まるのが分かる程度の箇所でわざとブチッと切る。
と問い考えさせる。
次のような反応が出る。
○明るい 多数
○暗い 3人
「<青空には 小鳥が歌い>とあるから明るい」と答えた以外にはこれと言った理由は出てこない。無理もない1番の歌詞からだけでは判断材料が乏しいのである。
すると、子供たちから「2番もあるでしょう。聴かせてほしい」という声が出た。
そこで、2番の範唱テープの続きを聴かせ、2番の歌詞を黒板に貼る。
2 その時
パパが言ったさ ぼくを胸に抱き
つらく悲しい時にも ラララ 泣くんじゃないと
グリーン グリーン
青空には そよ風ふいて
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がゆれる |
すると、明るいと考える子供の人数が減り、暗いと考える子供の数がクラスの半数程度に増えた。
考えが変わった理由は、「<つらく悲しい時にも ラララ 泣くんじゃないと>とあるから何か悲しいことがあったはずだから」「パパがぼくをなぐさめているから」と答えた。
そのような意見の後、「まだ、続きがあるから、分からなくなった」と答える子供もいた。
それを受け、次のように言う。
| 『えっ、まだ続く?曲の途中で切ったから分からない!ばれたらしかたないので、3番を聴いてもらいましょう。』 |
そして、範唱テープを流し3番を聴かせ、3番の歌詞を提示する。
3 ある朝
ぼくは目覚めて そして 知ったさ
この世に つらい悲しいことがあるってことを
グリーン グリーン
青空には 雲が走り
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がさわぐ |
| 『今度は答えれますね。さあ、明るい歌ですか、暗い歌ですか。根拠も考えてください。』 |
子供たちは3番まで歌詞が提示されたので、暗い歌と考える方が全員となった。その理由として次をあげた。
○<つらい悲しいことがあるってことを>とあるからなにか暗い悲しいことがあったはずだから。
○<つらく><かなしい>とあるから
つまり、3番までくると歌詞を根拠として暗いと考えるようになったのである。
そこで、次の発問をする。
| 『この歌の設定を考えます。いつ・どこで・だれが・どうした話ですか。』 |
大半の子供が次のように考えた。
○ある日、家で、ぼくとパパが話し合った。
○ある日、ぼくが悲しいことがあるということを知った話。
この後問う。
ここでは自由に発表させる。
それぞれに「赤ちゃんが産まれた」「ほめられた」「病気が治った」、「誰かが死んだ」「叱られた」が出た。
| 『もう、一度聞きます。この歌は、明るい歌ですか、暗い歌ですか。』 |
今度は前回と同じように、全員が暗い歌であると答えた。理由は前回と同じであった。
そこで問いかける。
| 『実はこの曲は長調で作曲してあるのです。では、短調に編曲したらどうなると思いますか。』 |
自由発表に発表させようとしたが、まったく反応がない。しかたがないので、短調の「グリーングリーン」を聴かせる。
曲の途中から、「気持ち悪い」「何か変だ」と口々に言う。
| 『どうして、作曲者は短調ではなく長調で作曲したのでしょう。』 |
数人に発表させると次のような答えが返ってきた。
・詩の暗さを曲の明るさでカバーさせる。
・ミスマッチを狙った。
もう一度、1番から3番までの範唱テープを聴かせる。
ほとんどの子供が「グリーン・グリーンという曲は悲しい歌だ」という反応だった。
ここでだいたい40分が過ぎようとしていた。やや間をおいて言う。
『これで授業は終わると思いますか?
まだ、続くのです。
この後に4番の歌詞があるのを発見しました。
読んでください。』 |
すると、クラス全員が驚いた。そこで、もったいぶって歌詞4番を掲示する。
4 あの時
パパと 約束したことを守った
こぶしをかため 胸をはり
ラララ ぼくは立っていた
グリーン グリーン
まぶたには なみだがあふれ
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がぬれる |
| 『もう、一度聞きます。この歌は、明るい歌ですか、暗い歌ですか。』 |
子供たちは全員が暗い歌であると答える。
理由として、<まぶたには なみだがあふれ><緑がぬれる>をあげた。
| 『なぜ<まぶたには なみだがあふれ>たのですか。』 |
すると、「家族の誰かが死んだからだ」と言う子もいた。
『なるほど、実はこの歌は・・・・・・・・まだ続くのです。
後が分かれば、きっと分かるようになりますよ。』
と言って、5番を掲示した。
5 その朝
パパは出かけた 遠い旅路へ
二度と 帰って来ないと
ラララ ぼくにもわかった
グリーン グリーン
青空には 虹がかかり
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がはえる |
一斉に音読させた。
すると、「パパが死んだんじゃないか」「パパが戦争にいったのではないか」という声があがった。
| 『じゃあ、この歌は明るい歌と考えますか、それとも暗い歌と考えますか。』 |
やはり、全員が暗い歌と答えた。
しかし、一人だけ「<青空には虹がかかり><丘の上には ララ 緑がはえる>があるので、明るいに近いのじゃあ・・」とつぶやいた。
観の鋭い子供は「まだ続くんじゃない?」と言っている。「まさかあ?」と言ってる子供もいた。
と言って、6番の歌詞を掲示した。
6 やがて
月日が過ぎゆき ぼくは知るだろう
パパの言ってた
ラララ 言葉の意味を
グリーン グリーン
青空には 太陽がわらい
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑があざやか |
一斉音読後問う。
| 『またまた、同じ問題です。この歌は明るい歌なんですか、暗い歌なんですか。』 |
<青空には 太陽がわらい><丘の上には ララ 緑があざやか>として、明るい歌だと考える子供が2人となった。
しかし、暗い歌だという子供の数より、わからないと答える子供の数が3人と多くなってきた。理由は「<青空には 太陽がわらい><丘の上には ララ 緑があざやか>と6番にはあるが、1番から5番までは、暗い感じの言葉がるあから」だと言う。
考え込む子供が多くなったので次に進むことにした。
すかさず7番を提示した。
7 いつか
ぼくも 子供と 語り合うだろう
この世に生きる喜び
そして 悲しみのことを
グリーン グリーン
青空には かすみたなびき
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がひろがる |
『この「グリーングリーン」という歌は、明るい歌・暗い歌のどちらと考えた方がいいのでしょう。自分なりに考えてくだ
さい。』 |
子供たちは考え込んだ。
挙手させて分裂を見た。
すると、明るい歌2人・分からない10人・暗い歌28人となった。
分からないが増えたのは、「7番では、<緑がひろがる>のだから明るいような感じがする。でも、1番から5番は暗いから全体としては分からなくなった」のだと言う。
| 『さて、この歌はこの後続きますか。・・・実は、・・・・・・・・・・これで終わりです。』 |
ここで、「グリーングリーン」の全歌詞を印刷したものを子供たちに配布する。
この後、この授業の感想を書かせた。
感想を書く時間を8分残して2時間めが終わった。
そのいくつかを示す。
○この歌は物語としてとらえられそうな気がする。物語ととらえると明るい物語になっている気がする。
○私は最終的には暗い意見だ。それは、歌が1番から3番になると父の死が近づく感じがするからだ。この歌は
本田君が言った「女は外見じゃなくて中身だ」に似ている。だって、「グリーン。グリーン」の外見は明るい が、中身は父の死に近づいて暗いからだ。グリーン・グリーンの本性があばかれた。
○本当の喜びとは生きていることで、悲しみとは死ぬことだろう。これは7番まであり、パパが亡くなる歌だっ
た。なみだがあふれそうになった。
○今までにこの歌を歌って自分なりにつらく悲しいこととはなんだろうと考えてきた。人によって歌の感じ方は
違うことがわかった。まさか7番まであるとは思わなかった。歌詞からだんだんぼくが成長するのがわかっ
た。この歌は、暗いぶぶんと明るい部分を合わせ持つ歌なので、明るいか暗いかは判断できないんじゃないか
な。それでも、どちらかと聞かれたら、感じ方によってみんな意見がちがうだろう。
○青空や小鳥が歌い、そよ風ふいて、雲がはしりとやさしいことばがあるけど、途中では悲しいつらいところが
ある。最後にはまたやさしいことばがある。悲しい曲ややさしい曲がごちゃまぜになっている。
○この歌には、緑のように、つらく悲しいことがあっても、上にむかって伸びていくということがかくれている
のではないかと思った。
○最初は暗かったが、だんだんと明るくなる。7番と1番はつながる。パパは死んでしまったろう。パパがいな
くなっても強く生きろと教えていたんだろう。
○この歌は生きる喜びを、この歌をきく人によびかけているのではないだろうか。
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考察
これまで何回も何回も歌った曲「グリーン・グリーン」であるのに、『明るいか、暗いか』と問うことで、子供たちは何もわかっていないことを自覚した。そして、曲想にひきずられることなく、歌詞を検討していくことが証明された授業である。
これをもたらしたのは、発問だけではなく、歌詞を1番ずつ提示していくことがポイントである。
子供の感想にあるように、この授業だけで、題の象徴まで言及しているのに注目したい。
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